アカデミー賞作品賞を受賞した2004年の作品『クラッシュ』、100円レンタルしていたので観てみました。TSUTAYAでは2010年2月21日(日)までの間、「泣ける」名作DVD 100タイトルを100円レンタルしているのです。
私はてっきり、J・G・バラード原作の同名小説を映画化したものなのかと思いました。交通事故のシーンから始まりますし。でも、違いました。米国の人種問題を絡めた社会派の作品です。
内容は『バベル』以上のインパクトでした。
アメリカは人種のるつぼ、現代社会においても潜在的、いや、顕在的な問題を抱えているのでしょう。偏見や差別といった人種問題を見事なまでに昇華しています。
交通事故当日とその一日半前からの出来事を描いています。最後に冒頭に話がつながり全貌が分かります。
主人公と呼べる人は固定しておらず、いろいろな人の立場に立ってストーリーは進行します。様々な人種の登場人物が複雑に絡み合う物語は出来過ぎの感がありますが、そんなことは些末な事だと思えてくるでしょう。
人間の行動は理性と感情に基づいているはずですが、実際には両者は相互に影響し合い、決して単純ではありません。何もかもうまくいかず自暴自棄となる者、また、プライドをずたずたにされ怒りを爆発させる者…。
人種差別をテーマとしていますが、その根底にあるのは人種によるものではなく、人間の不変の尊厳と愛だと感じました。
観ていくうちにやるせない気持ちになりますが、めげずに最後まで観てください。きっと忘れられない映画となるでしょう。
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