脳外科医・南方仁(みなかたじん)が江戸時代にタイムスリップして最先端医療を施すだけでも十分面白いのに、否応なしに歴史の渦に飲み込まれ、さらに自ら歴史に介入していくさまが圧巻です。その根底にあるのは、多くの人を救いたいという医療に対する真摯な姿。心打たれます。
一言で面白さを言い尽くすことができない、そんな漫画ですが、あえてその魅力を箇条書きにしてみたいと思います。
- 当時の技術で出来うる限りの最先端医療を実現していること。手術や治療の詳細な描写、薬や医療器具の創意工夫など、読者の知的欲求を満たしてくれる要素満載。
- タイムスリップによる歴史改変もの。日本の歴史がどう塗り変わっていくのか、歴史に疎い私でも思わず引き込まれてしまうストーリー展開。
- 坂本龍馬、勝海舟といった歴史上の重要人物の魅力的な描写。様々な人間が織りなす歴史大河ロマン。
- 現代人の視点で捉えた江戸時代の人々の生活。歴史では習わないような活き活きとした暮らしっぷり。
- 江戸庶民に留まらず、世界中の人々を救いたいという主人公の熱き思いと、その並々ならぬ行動力。
- 主人公の私利私欲の無い、純朴で実直な人柄。
- 故郷と呼べる現代から遠く隔絶された時代に放り出された、主人公の孤独と葛藤。
- 主人公とその周りの人達(歴史上の重要人物、医者、遊女、火消し、役者など)との人情味あふれる交流。
- 主人公の恋のゆくえ。
- 行く手を阻む様々な障害や敵対する人々による度重なる妨害、不屈の精神による障害の克服と危機回避。
- 町医者がこの世のものとは思えない医療を実現し、ひいては世界中の医者さえも震撼させるという痛快さ。
- 何故タイムスリップしたのか、そのきっかけとなった事件の謎解き。
導入部の謎が頭のどこかに引っ掛かっていたせいか、昨夜の夢の中で勝手に謎解きをしていました。いや、想像に過ぎないですけどね。
現在『スーパージャンプ』にて連載中。ドラマと漫画では微妙にストーリーが異なりますから、どちらも楽しめること請け合いです。ぜひ、ご一読ください。
ノベライズされたようだし、『小説JIN―仁』も読んでみようかなぁ。
11/10 追記:
もちろん、村上もとか先生の絵が素晴らしいことは言わずもがなです。
女性は内面から美しく子供は無邪気、男性は爽やかな好青年か、でなければとことんオッサンっぽい。そんなところが好きですね。
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