2005年10月18日火曜日
「パーフェクト・キル」
09/28、「マイ・ボディガード」原作「燃える男」について、このブログで書いた。
これは、同じ『クリーシィ・シリーズ』の第2作目である。
今回の作品は、実際にあった事件を題材にしている。
1988年12月21日の米パンナム103便爆破事件である。乗客243人と乗員15人全員が死亡、また、墜落した村でも犠牲者が出た。
民間機によるテロと言えば、2001年9月11日の同時多発テロが記憶に新しい。ニューヨーク市マンハッタンの世界貿易センタービルに、民間航空機2機が相次いで激突。また、アメリカ国防総省・ペンタゴン本庁舎とピッツバーグ郊外にも墜落した。テロリストにハイジャックされたという点、航空機自体が兵器となった点がパンナム103便とは異なるが、便利で利用客の多い交通手段ほど、テロの標的にされやすいと言える。
さて、9.11の事件は、ビン・ラディンが(イスラム教徒という名を騙って)主導したとされている(彼は10月8日のパキスタン地震で死亡したようだ)。
だが、パンナム103便では、2人の容疑者は特定されたが、本当の意味での首謀者は確定されていない。そこを突いて、作者クィネルは、パレスチナ解放人民戦線のある人物が黒幕であるとし、今回のクリーシィの敵役に仕立て上げたのである。
物語は、基本的には復讐劇であるが、むやみに感情に走るようなことはしない。緻密な計画(いや、むしろ軍事作戦と言うべきか)を練り上げ、冷静沈着に遂行していく。特に圧巻なのは、跡継ぎとすべく養子として迎え入れた若者を狙撃手として育て上げる場面。スティーブン・ハンターの「極大射程」やジェイムズ・セイヤーの「地上50m/mの迎撃」といったスナイパーものには及ばないが、一流の狙撃手というものがいかに特異な能力と訓練によるものなのかということは分かるだろう。
もちろん、復讐だけでこの物語の全てを語るわけにはいかない。人間愛に目覚めるクリーシィという設定も、また、お約束だからである。
私は、不覚にも、涙してしまった。。
またしても、ミリタリーファン&武器オタクにはたまらん一冊となっている。
パーフェクト・キル A.J.クィネル著 集英社文庫
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なんとなくダイハードみたいな感じなのかな?
返信削除ダイハード、続編出るっていってたけど、なくなったのかな。
続編と言えば「ロッキー」も作るんだとか。
スターローンもじーさんになっちゃったかな。
早速今日本屋さんに行って見てこようと思います。
返信削除なんか楽しそうですね。それと読む気にさせる解説です。
おやじさん、どーも。
返信削除「ダイハード」は私のお気に入りで、DVD全部持ってますが、
「ダイハード」の主人公が無理矢理事件に巻き込まれていく
のと違い、こちらは本人の意志で復讐に身を投じており、
その意識の差は大きいですね。
「ロッキー」はともかく、「ダイハード」の続編が出たら、
映画館にすっ飛んでいきそうです。
Todokichiさん、こんにちは。
シリーズものは、読み始めると止まらなくなるんで、
要注意です。まあ、このシリーズは4冊だけですが。
> それと読む気にさせる解説です。
これって、お褒めの言葉! ありがとうございます。
もし、期待はずれだったら、ごめんなさい。
読む気にさせる解説ではまって購入
返信削除読みました。面白くて1日で読破してしまいました。
面白かったです。
Todokichiさん、まんまと、はまりましたね。
返信削除この先どうなるんだろうと気になって、どんどん読み進んじゃうんですよ。
面白かったのなら、なによりです。